91: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/28(月) 21:49
第九十一夜 消された村

地図から消された村・・・杉沢村。

かつて青森県の山奥に、杉沢村という小さな村がありました。ところがある日、この杉沢村に住んでいた一人の男が突然発狂し、手斧で村人全員を虐殺、その犯行後に自らも命を絶ったため、村には誰もいなくなってしまったのです。

この事件の後、村として成り立たなくなった杉沢村は、事件を覆い隠そうとする自治体により密かにその存在を抹消されました。地図の上から名前を消され、青森県の公式記録の中からも名前を消され・・・。

廃墟と化した杉沢村には、それ以来近づくものがいませんでした。ところが・・・。

近年、杉沢村はにわかに心霊スポットとして注目をあびだしました。それまでは地元の一部の人にしか知られていない話だったのですが、インターネットの普及により全国に知れ渡るようになったからです。中には肝だめしと称して、杉沢村まで出かける人も現われだしました。

ところが、肝だめしに出かけた多くの人は、杉沢村の入り口の古ぼけた鳥居がある場所まで入ったところで、急に嫌な気配を感じ引き返してきてしまうといいます。そして、その鳥居の奥に入っていった人で帰ってきた人は、一人もいません・・・。

一説によると杉沢村が地図から消された最大の理由は、杉沢村に巡回に行った青森県の職員が、全て行方不明になってしまうためだからだそうです。

「存在しない」ということにしておけば、巡回する必要もなくなるというわけです。

呪われた村・杉沢村。ここに足を踏み入れた人に、命の保証はないのです。

解説:

杉沢村の伝説は、元々は地元の人だけが知っているローカルな都市伝説でした。

この伝説は、地元では「そこに肝だめしに行った若い男女がこんな恐ろしい目に・・・」といった怪談話の前振りとして使われることが多かったのですが、その怪談自体は何処か別の場所で起きたこととして語られてきた、怪談の焼き直しであったようです。

ところが、杉沢村の伝説はインターネットの普及により全国に知られるようになり、やがてはテレビにまで取り上げられるようになりました。

実際に興味本位で見学に行く人もいるようですが、もちろん足を踏み入れた人が帰って来れないということはありません。

杉沢村についてはかなり多くの偽情報や誤解が飛び交っています。

まず、杉沢村は地図から「消された」と言われていますが、実際には地図にその名が乗ったこと自体ありません。杉沢村は正式名称ではなく、本当は「小杉」という地名だからです。杉沢は住所の小杉から、「杉さ行く」と訛ってできた通称ということです。

また、杉沢村で大量虐殺が起きたという事実もありません。

杉沢村は電気も通らず、学校まで一時間半はかかるという僻地だったために一軒、また一軒とよそに移り住んでいき、昭和43年ごろまでに自然消滅してしまったというのが真相です。過疎化で滅んだ村が全国的な心霊スポットへ・・・。

ある特定の地域のみで語られていた都市伝説が、インターネットに載ることで全国的に広まるという、新しいタイプの都市伝説の先鞭(せんべん:先んじて着手する)的事例といえるかもしれません。

92: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/28(月) 22:22
第九十二夜 黄色い救急車

普通は白い色をしている救急車。

ところが、世の中には黄色い救急車というものが存在します。実は、精神病の患者を運ぶための特殊な救急車の色が黄色で、イエローピーポーなどとも呼ばれています。

「頭のおかしなやつ」のところへはこの黄色い救急車が現われ、半ば強制的に精神病院へ連れて行ってしまうのです。

解説:

都市伝説の中には、「口裂け女」や「人面犬」のように、メディアで取り上げられることでメジャーになる話がある一方、タブー視され、決して公のメディアでは語られない部類の話も存在します。

この「黄色い救急車」の話は後者の代表例でしょう。もちろんその理由は一見してわかる通り、かなり差別色の濃い話だからです。それゆえかこの話は、主に子供たちによって、ひっそりとですが、確実に語り継がれてきました。

何か変わった行動をした者に対して「そんなことをしてると、黄色い救急車が迎えに来るよ」と冗談半分に言うのが主な使い方です。

もちろん、実際にはそんな派手な色の救急車が存在するはずもなく(そんなに目立つ色の救急車があれば、皆に目撃されてるはずです)、精神病院に強制的に送られるということも、何かよっぽどの犯罪でも犯さない限りあるはずがありません。

ちなみに「黄色」の由来については「キチガイ」の「キ」から来たものとする説、海外には本当に黄色い救急車があり(未確認。この情報自体が都市伝説の可能性もあります)、そこからそう言われるようになったとする説の二通りあります。

ただ、関西以西では「緑の救急車(グリーンピーポー)」と呼ばれることもあり、こちらに関しては由来はまったくわかりません。

※イギリスの救急車:
イギリスでは月狂条例という法律を根拠として精神異常者を強制的に連行して入院させる制度があるが、この時に連行して行くのは、警察であり救急車に乗せるわけではない。
NW-ambo

※陸上自衛隊の救急車:
緑の救急車と呼べるかもしれないが、そもそも救急車の色は法令で白と規定されている。
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(wiki:黄色い救急車)

93: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/28(月) 22:29
第九十三夜 買った女

ある男性が、インドへ旅行に行った時の事である。

彼のインド旅行も最終日になった時、彼は「社会勉強」や「旅の思い出」などと称して、現地の店で女性を買ってみようと思った。彼はガイドに英語で「女性を買える場所はないか?」と尋ね、歓楽街の一角にある怪しげな店に案内される。

そこで提示された金額は、インドの物価を考えるとかなりの高額であったが、彼とって払えない金額ではなかったし、何より紹介された女性が美人だったのでその金額を払うことにした。彼は女性をホテルに連れて帰り一夜を楽しんだ。

ところがその女性は、夜が明けても彼の側にいて帰ろうとしない。もう空港に向かい出発しなければいけない時間。困った彼は、たどたどしい英語で彼女に帰るように言ったが、なぜか彼女は帰ろうとしない。

それどころか、彼女は彼のことを「Master(ご主人様)」と呼び始めた。

どうやら彼は本当に女性を「買って」しまったようだ。

解説:

これもまた、海外に対するステレオタイプな考え方が生んだ都市伝説のひとつです。この話はいつもここで終わってしまうのですが、この女性がその後どうなったのか気になるところではあります。

94: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/28(月) 22:30
第九十四夜 N.Y.地下下水溝のワニ

アメリカはニューヨークの地下、日の当たらない下水溝の奥に、真っ白な盲目のワニが住んでいる・・・そんな話を聞いたことはないでしょうか?

1960年代の後半にニューヨークでは、子供のワニをペットとして飼うのが流行っていました。フロリダやマイアミに旅行に出かけた人の多くは、子供への土産物として子ワニを持ちかえってきたものです。

ところが、このブームは一過性のものでした。飽きられたり、あるいは大きくなりすぎたりといった理由で、ワニ達は次々とトイレに捨てられ、下水溝に流されていきました。

下水溝に捨てられたワニの一部はこの苛酷な環境に耐え抜き、付近に生息するネズミなどをエサとすることで成長し、繁殖しだしました。光が当たらない下水道の中で生きていたため彼らの皮は白くなり、目は見えなくなっていったといいます。

今では彼らは、下水溝のメンテナンスを担当する作業員たちの最大の脅威となっています。

解説:

下水溝に住むワニの話は、世界中に広まっている都市伝説です。ただし、他の多くの都市伝説に見られるように「私たちの街」の物語となることは少なく、あくまでニューヨークの話として広まっているのが興味深い点です。

かつて東京都練馬区の石神井公園の池に、ワニが現れたという噂が広がったことがあります。これがこの都市伝説の焼き直しなのか、何かを見間違えたのか、あるいは本当にワニがいたのか・・・今となっては知る由もありません。

95: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/28(月) 22:31
第九十五夜 赤い部屋

ある日の夜、とあるタクシーの運転手が、一人の女性客を拾った。

彼女はなかなかの美人だが、何かの病気なのか、あるいは悲しいことでもあり泣きはらしたのか、目が真っ赤だった。運転手は彼女の告げるとおりに郊外へ走り抜け、山の奥へ向かって走っていった。

こんな時間になぜこんなところに?運転手が不思議に思いながらタクシーを走らせていると、山道の途中で彼女は不意に車を停めるように指示し、運転手に金を払うと黙って歩み去っていった。

こんな場所にとても家があるとは思えない。運転手は女性が自殺でもするのではないかと心配になり、車を降りてこっそりと後をつけてみることにした。

しばらく女性の後をつけると、山奥に一軒の家が建っているのが見えてきた。彼女はその家の中に消えていった。運転手はしばらくそこで様子を伺っていたが、ついには好奇心に負けてこっそりと家に近づき、鍵穴から中を覗いてみた。

すると彼の目に、燃えるような深紅の色が飛び込んできた。そこはただ赤い色が広がっているだけで、他には何も見えない。壁も床も赤い色に染めた赤い部屋なのだろうか?だが、しばらくして目が慣れると、彼は不意にそれが何であるかに気付いた。

彼が覗きこんでいたのは、あの女性の目なのだ。

向こうも鍵穴からこちらを覗きこんでいたのだ。

解説:

この話は比較的新しい都市伝説なのか、まだ完成形というべき物語ができあがっていません。

「主人公が鍵穴から中を覗くと、赤い部屋が見える。それがじつは女性の目」というオチの部分は不動ですが、そこに至るまでの物語や、それが女性の目だったと気付く過程が千差万別で、パターン化していないのです。

例えば、導入部が街で見かけた美人の後をつけるという話だったり、近所に住む赤い目の女性の噂を聞いて、好奇心から家を覗いてみる話だったり、結末部でも赤い部屋が実は目だと気付くのが、その家から立ち去ってだいぶ後のことだったり・・・。

これから基本形を獲得しメジャーな話となるのか、あるいは忘れられ消えていくのか・・・
今後もこの類話を収集することで、その行く末を見守りたいと思います。

96: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/28(月) 22:38
第九十六夜 山道の親子

あるカップルが、夜遅くに埼玉県内の山道をドライブしていた時のことです。

彼らが車を走らせていると、小さな女の子が向こう側から走ってきます。なぜこんな夜遅くに小さな女の子が一人で?

その女の子はカップルの乗った車に気付くと、車を止めようとするかのようなジェスチャーを示しましたが、夜中の山道にたった一人でいる少女という存在に不気味なものを感じた二人は、車を止めずにその場から走り去っていきました。

さて、しばらく車を走らせて気持ちが落ち着いてくると、二人は少女を無視していったことを後悔しだしました。あの子は何かとても困ったことがあって、それで助けを求めていたのでは?

そんなことを考えながら二人が車を走らせていると、今度は一人の若い男が向こう側から走ってきて、手を上げて車に止まってほしいというようなジェスチャーをしました。

二人が車を止めるとその男は車に近づいてきて、この辺で私の娘を見ませんでしたか、と聞いてきました。

さっきの子供は父親とはぐれて困っていたのか。そう納得した二人は彼にさっき少女と出会ったことを話し、何ならそこまで送っていこうかと彼に尋ねました。ですが、その男性は「いえ、そこまでしてもらわなくても」と言って申し出を断り、少女がいる方角へ走り去っていきました。

それからしばらくたったある日、テレビで連続幼女誘拐殺人犯が逮捕されたというニュースが流れました。そこに映し出された犯人・宮崎勤はカップルが山道で出会ったあの男でした。

そして、犠牲者の幼女の中にはあの時山道で会った女の子の顔が・・・。

解説:

「歩行者専用標識の秘密(第七十夜【その7】)」のところで少し触れた、元ネタになった可能性が高いと思われる話がこの「山道の親子」です。

というのは、この話には仲良く手をつないで歩いている親子を山道で見かけ、乗っていきませんかと声をかける別バージョンがあるからです。
もちろんその逆で、実は「歩行者専用標識の秘密」がこの話の元ネタである可能性もありますが・・・。

類話に犯人が匿名の誰かで宮崎と限定されていないものや、被害者が幼女ではなく若い女性であるという「山道のカップル」バージョンなどがありますが、これらの話が元からあって、そこに宮宮崎事件が起きたため犯人が限定されるようになったのか、あるいは宮宮崎事件からこの話が誕生し、やがて別バージョンが派生していったのかは定かではありません。

ただ、新しく生まれる都市伝説というのは、意外に古くから語られている話の焼き直しであることが多いので、私は前者である可能性が高いと考えています。

※宮崎勤(みやざき つとむ):
1988年から1989年にかけて発生した「東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件」の容疑者として逮捕・起訴され、死刑判決が確定し、2008年6月18日刑死した。事件の被害者は4名、4~7歳という幼女であった。(wiki:東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件)

97: 名無しさん@お腹いっぱい 2000/08/28(月) 22:55
第九十七夜 私はエイズ

ある男性が、仕事でニューヨークへ行くことになった。

その話を聞いた彼の同僚は、ニューヨークはホモが多いから気をつけろと冗談半分に言って、彼をからかう。その話を聞いて怖くなった彼は、向こうでホモに迫られたらどうしたら良いのかと、その同僚に尋ねた。

「簡単なことだよ」その同僚は言った。

「『私はエイズです』と言えばいいのさ」

この話を聞いて安心した彼は、ニューヨークへ旅立っていった。しかし、彼の不安は的中してしまう。彼が用を足そうと公衆便所の中に入ったところ、後から入ってきた屈強な黒人男性が彼の後ろにピタリと立ち、そして彼を抱きすくめてきたのだ。

彼はとっさにあの時の同僚の言葉を思い出し、こう叫んだ。

「私はエイズなんだ!」

しかし、黒人はその言葉に動揺することもなく、彼を抱きすくめたままこう答えた。

「Mee too(ぼくもだよ)」

解説:

「ルージュの伝言(第九夜【その1】)」同様、エイズに対する差別的なニュアンスを含んだ都市伝説です。「エイズ=ホモ」の図式が間違いであることが十分に広がったためか、最近ではあまり聞くことがなくなりました。

あるいは、この話には同性愛者への差別意識、人種差別意識(なぜか多くの場合、相手の男は黒人とされます)も含まれているため、時代の空気の変化に従い語りにくくなっていったということもあるかもしれません。

98: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/28(月) 23:06
第九十八夜 ききわけのいい娘

あるところに、小さな女の子がいました。その子は母親の言い付けをよく守り、家の手伝いも進んでするような本当に出来の良い子供でした。彼女にはもうすぐ小学校に上がる幼い弟がいました。

両親も彼女もこの幼い弟を大変可愛がっていましたが、ひとつだけ困ったことがありました。この弟は幾つになってもトイレでおしっこをすることを覚えられず、所かまわずお漏らししてしまうのです。

ある日のこと、いつものようにお漏らしをした弟に業を煮やした母親は、思わず「今度からちゃんとトイレでしなさい!今度漏らしたらオチン○ンをちょん切るわよ!」と叫んでしまいました。

それからしばらくたったある日、二人の子供を留守番に残して買い物に出かけていた母親が帰宅すると、何と彼女の息子が下半身を血まみれにしてぐったりとしています。その横には、手に大きなハサミを持った娘の姿が。

彼女は母親の姿を見ると、にっこり笑ってこう言いました。

「弟がまたお漏らしをしたから、ママの代わりにちょん切っておいたわよ」

解説:

この話もまた、アメリカ経由で日本に入ってきた都市伝説です。

アメリカの話では、このあと慌てた母親が弟を車で病院に連れて行こうとし、車を発進させる時に母親を追って表に出てきた娘を轢き殺してしまう、という残酷なオチがつくこともあります。

実はグリムの童話の初期のものには、このような母親の不注意で子供がみんな死んでしまう話がされています。他にも同じタイプの都市伝説が、アメリカ=ヨーロッパ文化圏には多数見られることから、グリム童話の時代よりこれらの話が形を変えつつ語り継がれていることがわかります。

現代の民話が都市伝説であるという、よい事例かもしれません。

99: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/28(月) 23:08
第九十九夜 メンソールを吸うと・・・

メンソールタバコを吸うとインポになる、という話は誰もが聞いたことがあるかと思います。実はこの話にはちゃんとした根拠があるのはご存知でしょうか?

ベトナム戦争時、米軍では兵士がレイプなどの戦場犯罪に走らないようにするため、メンソールタバコの中に精力を減少させるための薬を混ぜ、兵士に支給していました。この薬には独特の匂いがあるため、普通のタバコに混ぜると匂いでバレてしまうので、メンソールタバコが選ばれたのだということです。

解説:

「メンソールを吸うとインポになる」という噂には、様々な「根拠」とされる話が付随して流れています。

そのなかで有名なのが、このベトナム戦争時に精力減退剤が使われたからとする説と、メンソールに限らずタバコを吸うと血液循環が悪くなり勃起しにくくなるのだが、メンソールだとスーッとして吸いやすいため、吸う量が増えてしまうのでインポになるという噂が流れたとする説です。

まず「ベトナム戦争時の~」という説は、この噂がベトナム戦争以前にすでに存在していたという時点で簡単に否定できます。いくら戦争犯罪を防ぐためとはいえ、米軍がわざわざそんなものを自国の兵士に吸わせるとも思えないですし。

では、後者の説はどうでしょうか?この説は科学的な説明ですので、うっかり信じてしまいそうです。

確かに、タバコを吸うと血液循環が悪くなるため勃起しにくくなる、という現象はあるようです。ですが、それは普通にタバコを吸ってる人間に実感できるほどの影響ではなく、またメンソールとの関連づけにいたってはこじつけの感が否めません。

では、なぜこの噂は誕生したのでしょうか?その秘密をとく鍵はアメリカにあります。

一時期、アメリカではメンソールタバコは嫌われものでした(今ではタバコ全てが嫌われ者ですが)。タバコにスーッとした清涼感を加えて吸いやすくするという姿勢に、媚びたものを感じたためといわれています。禁煙運動が盛んになってからは、その吸いやすさゆえに攻撃の的にもなりました。

このメンソールに対する悪感情は、様々な都市伝説を産み出しているのですが、どうやらそこから派生したのがこのインポの伝説のようです。

100: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/29(火) 01:07
第百夜 さっちゃん

「さっちゃんはね さちこっていうんだ ほんとはね」

誰もが知っている童謡の「さっちゃん」。この歌の2番、3番の歌詞をご存知でしょうか?

2番の歌詞は「さっちゃんはバナナが大好きだけど半分しか食べられなくて可愛そう」という内容で、3番は「さっちゃんが遠くへ行ってしまって寂しい」というものです。

実はこの歌は「さちこ」という実在した、ある女の子にささげられた曲なのです。

さっちゃんはバナナを食べながら歩いている時に、交通事故に遭い死んでしまいました。だから「さっちゃんはバナナを半分しか食べられなくて可愛そう」なのであり、「遠くへ行ってしまう」というわけです。

さてここまでこの話を読まれたあなたに、忠告しておくことがあります。

さっちゃんはとても寂しがり屋なので、この歌の本当の意味を知った人がいると、夜中にその人のもとに現われ、その人をあの世へ引きずり込んでしまうのです。

ただし、さっちゃんの大好物であるバナナを書いた絵を枕の下に入れておくと、さっちゃんはそちらのほうに気を取られるため、あなたが連れて行かれることはありません。

くれぐれもそのことを、お忘れなきよう・・・。

解説:

バージョンによっては意味を知ったらではなく、歌を最後まで歌ったら迎えに来るとされていることや、あの世に連れていかれるのではなく、足をもぎ取られる(さっちゃんが事故で轢かれた時に足がちぎれたから、という説明がつきます)とされていることもあります。

この「さっちゃん」という童謡に、モデルとなる女の子がいたというのは本当です。ただし、この歌はその子の死を悼んで作られたような悲しい歌ではありません。

バナナが半分しか食べられないというのは、その子はまだ小さいから全部は食べられないというだけですし、遠くに行ってしまって寂しいというのも引っ越したというだけの話。それ以前にその子は事故で死んだりはしていません。

このさっちゃんの歌にまつわる都市伝説には「聞いた人のもとに現われる」、「体の一部を奪われる。あるいは殺される」、「助かるためのおまじないが存在する」というような、他の多くの感染系都市伝説に見られる特徴が含まれています。

やはりこの「さっちゃん」にまつわる噂は、カシマレイコなどの他の感染系都市伝説の焼き直しと考えるのが妥当なようです。

※カシマレイコ:
「かしまさん」は、顔の半分が焼け爛れた、四肢が欠損している幽霊で「足いるか?」などと聞いてくるという。正体は戦争で亡くなった兵隊さん、あるいは女の子の霊だという。

「手をよこせ」と言われたら「今使ってます」、「脚をよこせ」と言われたら「今必要です」、「その話を誰から聞いた」と聞かれたら「カシマさん」・「カは仮面のカ、シは死人のシ、マは魔界のマ」と答える。答える事ができないと、四肢の一部が奪われてしまう。

呪いの都市伝説 カシマさんを追う
松山 ひろし
アールズ出版
2004-11-10


101: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/29(火) 01:17
最終夜 口裂け女

ある日の夕方のことです。ある女の子が学校からの帰り道、赤いコートを着て口に大きなマスクをつけた女性に出会いました。その女性は女の子を見るとこう聞いてきました。

「私ってキレイ?」

マスクで顔の下半分は隠れていますが、その女性はなかなかの美人のようです。女の子は素直に「きれいだよ」と答えました。

するとその女性はマスクに手をかけ、それを剥ぎ取りながらこう言いました。

「これでも・・・キレイか~~!!」

何とその女性の口は、耳まで裂けていたのです。女の子は恐怖のあまり、走ってその場から逃げ出しました。しかしその口の裂けた女性は、ものすごい速さで女の子を追いかけてきます。女の子は簡単に追いつかれてしまいました。

「あなたも私みたいにしてあげる」

そう言った女性の手には、いつのまにか大きな鎌が握られていました。そして、その鎌で女の子の口を・・・

この女性は整形手術の失敗で、口が裂けたようになってしまいました。それ以来、精神に異教をきたしたこの女性は、夕方になると下校途中の子供たちを襲い、その口を片っ端から裂いているのです。

解説:

日本の都市伝説のヒロイン(?)、口裂け女です。

口裂け女の噂は、当初はここで紹介したようなシンプルなものでしたが、やがて噂が流れるにつれポマードと3回唱えると逃げ出す、べっこう飴が大好物だ、100メートルを3秒で走る、子供を頭から噛み殺す、三姉妹の末娘であるといった尾ひれが付くことになります。

口裂け女の噂は、岐阜が発祥の地といわれています。岐阜では、精神病院から口の裂けた女性が逃げ出したというローカルな噂が流れたことがあり、この噂が子供たちに広がるにつれより過激に、そして荒唐無稽に変化していったようです。

口裂け女とは、いったい何だったのでしょうか?

口裂け女の噂の原型が岐阜で誕生した時、彼女は異形ではありましたが、確かに人間でした。

ところが、最後には彼女は鎌を振り回しながら100メートを3秒で走り、子供を頭から食い殺し、「ポマード」という呪文で追い払うことができる怪物へと変化していきました。彼女は最後には人間ではなく、妖怪と呼べる存在になっていたのです。

現代人にとって妖怪とは過去の遺物であり、身近なものではないと思われがちです。ところが、口裂け女や人面犬のように現代でも妖怪は我々の身近に潜み、その姿を噂という形で現す機会を伺っているのです。

(完)

決定版! 「都市伝説」大全 超タブーDX
「噂の真相」を究明する会
宝島社
2017-04-24