81: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/28(月) 00:40
第八十一夜 なんちゃっておじさん

それは1970年代後半の、ある日の夜の出来事です。

都内を走るある電車に、一風変わったおじさんが乗っていました。

そのおじさんは酒に酔っているのか、他の乗客の前でご機嫌な様子で、くだらない冗談を言っては「なんちゃって」とおどけて、両手を頭の上に乗せてポーズをとって見せるということを繰り返していました。

ところが、このおじさんの様子が気に入らないのか、二人のチンピラ風の男がおじさんに因縁をつけて絡みだしたのです。するとそのおじさんは急にオドオドしだし、最後には大きな声でわんわんと泣き出してしまいました。

困ったのはチンピラ風の男達です。泣くなとすごんで脅してみましたが効果はなく、おじさんは泣きつづけるばかり。きまりが悪くなったチンピラ風の男たちは、次の駅に電車が止まるとさっさと降りていってしまいました。

おじさんは男たちが降りたのを見ると急に泣きやみ、周りの乗客のほうを振り返るとけろっとした顔で両手を頭の上に乗せてこう言いました。

「なんちゃって」

解説:

「なんちゃっておじさん」は1977年ごろに、人気ラジオ番組のオールナイトニッポンで、リスナーから寄せられた話として紹介されました。この話は、当時のオールナイトニッポンの放送作家による、まったくの作り話であったといいます。

ところがこの番組の放送後、全国から「私もなんちゃっておじさんを見た」という報告が殺到しだしたのです(あるいは、それはラジオのリスナー達がネタとして創作したものだったのかもしれません)。

これによりなんちゃっておじさんはちょっとしたブームとなり、実在の人物と考えられるようになっていったようです。

82: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/28(月) 01:01
第八十二夜 ポール・マッカートニー死亡説

ポール・マッカートニーは死んでいる!?

この衝撃的な噂が広がったのは、1960年代後半のことである。

1966年の11月初旬、EMIのレコーディングスタジオから立ち去ったポール・マッカートニーは、自動車事故に合い死んでしまったのだという。それ以後、ビートルズはポールの替え玉を仕立て上げて活動を続けていたのだ。

ビートルズは、ポールが死んだというメッセージを、様々な方法で密かに伝えてきた。

「Revolution NO.9」の「ナンバーナイン、ナンバーナイン、ナンバーナイン」の歌詞の部分をレコードで逆回転すると「Turn meon,dead man!(死んだ男よ、俺を興奮させてくれ)」と聞こえ、Strawberry Fields」のノイズを消すと「I burried Paul(俺がポールを葬った)」と聞こえるのだという。

さらに、「サージェント・ペッパー」のアルバム・カバーの裏側の写真では、ポールが「OPD」と書かれたアームバッジをつけているが、これは「Officially Pronounced Dead(公式に死亡と認定)」の略である。

また、「アビィ・ロード」のアルバム・カバーではジョン・レノンが牧師のような白装束、リンゴ・スターは葬儀屋、ジョージ・ハリソンは墓堀り人の格好をしており、ポール・マッカートニーはイギリスで葬られる死体のように裸足である。

また道端に停車しているフォルックスワーゲン(=ビートル)のナンバープレートには「IF28」と書かれており、これはもしポールが生きていたら28歳であったという意味である。

アビイ・ロード
ザ・ビートルズ
EMIミュージック・ジャパン
1998-03-11

※左より、ジョージ・ハリスン、ポール・マッカートニー、リンゴ・スター、ジョン・レノン。

解説:

芸能人や有名人には、突然死亡説が流れることがあります(志村けんが、小学生に刺されて死亡したという怪説が流れたことがありました)。※私のところでは志村けんはガンで死亡した説でした。某がんセンターで死亡したという具体的な病院名まで出ていました。

その著名人の死亡説の中で、国際的にもっとも有名なものであったのがこの、ビートルズのポール・マッカートニー死亡説でしょう。もちろんポール・マッカートニーはこの時死んではいませんでしたし、2000年現在も存命しています。

この噂が広まった時期を、ポール・マッカートニーはスコットランドの農場で過ごしており、人と会う機会が極端に少なくなっており、メディアへの露出がなくなっていたことが、この死亡説の流れる下地になったと思われます。

もっとも、この噂をし合っていたファンたちにしても、本気でポールが死んだと思っていた人は少なく、多くの人はビートルズによって仕掛けられた大掛かりなイタズラであると考えていたようですが。

ちなみに「OPD」のバッジはカナダに旅行した時にオンタリオ警察本部(OntarioPoliceDepartment)でもらったものであり、「アビィ・ロード」でのメンバーの衣装は、それぞれの普段の服装であるということです。

83: 名無しさん@お腹いっぱい 2000/08/28(月) 01:25
第八十三夜 耳の中のハエ

ある男性が耳の奥に違和感を感じ、病院へ診察してもらいに行った。男性を診察した医師によると、なんと彼の耳の穴の奥にハエが一匹潜り込んでおり、そのために違和感を感じるのだという。

「ハエをうまく取り出すことは出来ないでしょうか?」

男は医者に尋ねた。

「無理ですね。かなり奥まで入り込んでしまっていますから。まあ、放っておけば勝手に出ていくと思いますよ」

医者がそう言うので仕方がない。男は不満ながらも、そのまま家に帰っていった。

その翌日、確かに医者が言ったようにハエは彼の耳から出ていった。だがホッとしたのもつかの間、その数日後には、今度は原因不明の頭痛が彼を悩ませることとなる。

すぐに病院へ行ったが、今度は医者にも原因がわからない。彼は精密検査にかけられることになった。検査の結果が出ると、医者は沈痛な面持ちで彼にこう告げた。

「残念な結果が出ました。どうやらあなたの耳に侵入したハエはメスであったようです。このハエがあなたの頭の中に産みつけた卵が孵化し、生まれてきた蛆虫が脳を内部から食い荒らしています。もう手の施しようがありません」

その結果を聞いた男性は病院の屋上から飛び降り、自らの頭を地面に打ちつけ、叩き割った。

解説:

久しぶりの異物人体侵入系の都市伝説です。耳に虫が入ることは実際にあることであり、その虫がもし耳に卵を産んだら・・・という不安と恐怖の空想が、この話を生み出したのかもしれません。

84: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/28(月) 01:55
第八十四夜 いつも君を見ている

「僕は君のことはいつも見ているんだよ」

最近携帯電話を買ったある女性。彼女の携帯に一番最初にかかってきた電話がこれでした。相手の男の声に心当たりはありません。

それから男は彼女の一日の行動を見ていたと言って、その様子を詳細に語り始めたのですが、その内容はひとつも彼女に当てはまりませんでした。「変なイタズラをするやつがいるな」そう思った彼女は、無言で電話を切ってしまいました。

その翌日の夜にも同じ相手から電話がかかってきました。男はまたも一方的に、彼女の今日一日の行動と称したことを語り始めましたが、やはりその内容は彼女の実際の一日の行動にはまったく当てはまりません。

どうやら彼女のことを、誰か別の人と勘違いしているようです。また同じように、彼女は無言で電話を切りました。

次の日も、そのまた次の日も男からの電話はかかってきます。いいかげんうっとうしくなった彼女は、男に向かってこう言いました。

「いいかげんにしてください!私はあなたが狙ってる人じゃありませんよ!」

その日以来、男からの電話はかかってこなくなりました。

それからしばらくしたある日。彼女がこの電話の一件をすっかり忘れかけた頃になって、またもやあの男から電話がかかってきました。

ただ、今度はいつもと様子が違います。

「この前は本当にごめんなさい」

男はそう言って彼女に謝罪すると、携帯の番号持ち主が変わった事にに気づかず、以前の携帯の番号の持ち主だと思って彼女に話し掛けていた事を説明しました。

彼女にとってはそんな話はどうでもいいことです。彼女は早くこのストーカー男との話を打ちきって電話を切ってしまいたかったのですが、次に男が話し出したことを聞いた時、彼女は凍りついてしまい、それが出来なくなりました。

男は彼女のその日一日の行動を見ていたと言って、その様子を詳細に語りだしたのです。その話の内容は、実際の彼女の行動とピタリと一致するものでした。

「だから言っただろ」

男は言いました。

「僕は君のことはいつも見ているんだよ。ひひひひひ・・・」

解説:

現代日本に数多く誕生した、新手のストーカー伝説のひとつです。

いったいどうやって彼女のことを調べたのか、そして、なぜあっさりターゲットを彼女に切り替えてしまったのか・・・謎は尽きませんが、「ストーカーだから」といわれると納得してしまうような気もします。これがストーカー話の怖さの本質かもしれません。

85: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/28(月) 07:45
第八十五夜 コンクリートの中には・・・

新宿に建つ、ある高層ビルの基礎工事中の出来事です。

その日、工事現場では地中にコンクリートを流し込む作業をしていたのですが、ある一人の作業員が作業中に足を滑らせて、コンクリートを流し込む穴に転落してしまいました。

周囲の人間はそのことにしばらく気づかず、発見されたのはかなりの量のコンクリートが流し込まれた後で、彼は上に伸ばした手だけを残してコンクリートに埋没していました。

いま工事を中断し、コンクリートを掘り起こしてもおそらくは手遅れで彼は助けられないし、流したコンクリートと、それまでの作業にかかった時間が無駄になってしまいます。

現場では彼を失踪したことにし、そのまま全てのコンクリートを流し込んで、彼を完全に埋めてしまいました。

このことが公になることはなかかったので、今でもその新宿のビルの地下には、コンクリート漬けの死体が埋まっているのです。

解説:

新宿に限らず、日本全国にこのような「現代の人柱伝説」は存在します。また、事故の舞台とされるのも高層ビルの他、ダムの工事現場であったり、学校であったり(この場合は生徒たちが「うちの学校の壁には人が埋まっている」などと噂するのです)と様々です。

例によって「このビルからは深夜にうめき声が聞こえる。その理由は・・・」といった、怪談風の前振り(あるいは後日談)がつくことも多いです。

86: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/28(月) 13:55
第八十六夜 多すぎるもも肉

フライドチキンで有名な、あるファストフードのチェーン店での話である。

その店の工場で働いていた従業員は、ある日奇妙なことに気づいた。ニワトリのムネ肉の数と比べて、モモ肉の数が異常なほど多いのだ。その日以来、彼はそのことが気になって仕方がない。

そこで工場の奥にある、一部の従業員以外立ち入り禁止となっている倉庫の中をこっそり覗いてみることにした。倉庫の扉を開けた時、彼の目には異様な光景が飛び込んできた。

倉庫の中一面に、脚が4本もある不気味なニワトリが吊るされていたのだ。

解説:

「ミミズバーガー(第二夜【その1】)」と同様、ファーストフードの異常な食品にまつわる伝説です。

ある大手ファーストフード店(ほとんどの場合、ここで名指しにされるのは「ケンタッキーフライドチキン」です)が、もも肉を大量生産するために遺伝子操作などで足の数を増やした(4本の他に3本や6本とされることあり)ニワトリを生み出したというわけです。

もちろんこの話はまったくの虚構です。ですが・・・。

1999年3月12日付の「サイエンス」誌によれば、現在アメリカではニワトリの遺伝子を操作し、実際に4本脚のニワトリを生み出す(脚を形成する遺伝子を、翼になる部分に注入することにより、翼の変りに脚が生えてくる)研究が進められているといいます。

都市伝説がいつのまにか真実となってしまう・・・そんな日がいつか来るのかもしれませんね。

87: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/28(月) 13:57
第八十七夜 内定辞退

就職難の現在からは考えられないことですが、かつて日本がバブル景気に浮かれていた頃、どの企業も求人難で、必死に新卒の学生の確保に努めていた頃の話です。

就職活動をしていたある学生が、二つの企業から内定を受け、片方の企業に対して内定を辞退しなければならなくなりました。

彼が内定辞退の挨拶に向かうと、その会社の人事担当者は穏やかな様子で彼を別室に案内して、彼に「コーヒーとお茶ではどちらがお好きですか?」と聞いてきました。

彼がコーヒーと答えると、突然、彼は頭からコーヒーを浴びせかけられました。

解説:

「一発合格!(第十二夜【その2】)」同様、就職活動の現場に伝わるフォークロア(都市伝説)です。何と答えても結果が同じになる最後の二択は、学校の怪談である「赤い紙と青い紙」を連想させ興味深いです。

※赤マントと青マント:
夕方の学校で、少年がトイレで用を済ませ、拭こうとすると紙が無かった。するとどこからともなくこんな声が聞こえてきた。「赤い紙が欲しいか? 青い紙が欲しいか?」

少年が「赤い紙」と答えた。その瞬間、身体中から血が噴き出し、少年は死んでしまった。

この話を聞いた別の生徒は、怖がりながらも我慢できずにトイレに行った。するとやはり「赤い紙が欲しいか? 青い紙が欲しいか?」という声が聞こえて来た。少年は血が噴き出した話を思い出し、「青い紙」と答えた。

その瞬間、少年は身体中の血液を全て抜き取られ、真っ青になって死んでしまった。

「赤い紙、白い紙」「赤マント、青マント」等バリエーションが存在するが、結末は同じようなもの。(wiki:赤い紙、青い紙)


88: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/28(月) 14:13
第八十八夜 飲酒運転

ある男性が友人と酒を飲み、酔ったままかなりのスピードで車を運転して帰ってきた。

男性の妻は「そんなに酔っているのに車を運転しては危ない」と夫を注意したが、泥酔していた彼は話を聞きながら眠ってしまう。

その翌日、目を覚ました男性が仕事へ行くためにガレージへ行くと、ガレージの外から車の下まで点々と続く血の跡がある。

車の下に何があるんだ?不審に思った彼がしゃがみこんで車の下を覗きこむと・・・なんと、上半身だけになった女性の死体がそこに絡み付いていたのだ。

泥酔していた彼は昨晩、人を轢いてしまったのにそのことに気づかず、家まで引きずってきてしまったのだ。

解説:

他にも、血の跡をたどって警官がやってくることで事故が判明する、というバージョンもあります。「事故の伝説は教訓的な意味合いが強い」という法則にもれることなく、この話も飲酒運転への警告が重要なテーマとなっています。

また、この話は「国際的な旅する伝説」でもあり、本家アメリカには、泥酔した男性の車のフロントグリルに女の子の死体がはりついていた、という類話があります。

89: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/28(月) 21:11
第八十九夜 タイ料理の蜘蛛

タイに旅行に行ったある男性が、どうせならみんなとは違うものが食べてみたいと思い、現地の人がよく利用するような店にふらりと入っていった。

だが観光客相手ではない店だけあって、メニューは全てタイ語で書かれていて、何を注文したらよいかわからない。仕方がないので適当にメニューを指さして、何かわからないまま注文することにした。

しばらくして運ばれてきたのは、レタスのような葉っぱに包まれたサラダのような料理であった。さあ食べようと思いふと料理を見ると、レタスの上に一匹の小さな蜘蛛がついている。

男性は少し嫌な気分になったが、こういうところもまた現地の人の利用する店らしくていいかと思い直し、蜘蛛をつまみ取ると床下に捨てた。

そして気を取りなおし、料理を食べようとそのレタスを開いてみると・・・その中には今のと同じ小さな蜘蛛が、びっしりと詰まっていたのだ。

解説:

海外のゲテモノ料理にまつわる伝説です。何をゲテモノと考えるかは、それぞれの国の食習慣によって異なりますし、昆虫を普通に食べる国や地域が数多く存在しているのは事実です。

ですが、この話は起承転結がはっきりしており、さらに最初に小さな蜘蛛を見つけて取り除くという捻りが見られますので、事実というよりは伝説であると思われます。

90: 名無しさん@お腹いっぱい。 2000/08/28(月) 21:35
第九十夜 呪われたCM

1980年代中頃に流されていた「クリネックスティッシュ」のCMをご存知でしょうか?バックに英語詞のアカベラの曲が流れる中で、松坂慶子が子鬼の扮装をした子供と戯れている・・・という内容のCMです。

実はこのCMがオンエアされていた時、子鬼の役をしていた子供はすでにこの世にはいませんでした。CMの撮影終了直後、この子供は不可解な事故で死んでしまっていたのです。

また、松坂慶子もこのことが原因か撮影終了後に極度のノイローゼに陥り、さらにCM撮影に関ったスタッフたちにも不可解な事故が続発しました。このCMは呪われていたのです。

そもそも、このCMに使われた曲自体が呪われた曲でした。この曲の歌詞を和訳すると「死ね死ねみんな死ね~」というような内容になり、黒ミサで使われる曲ともいわれています。

すべては「悪魔の歌」と呼ばれることすらある、この曲の呪いによって引き起こされた悲劇なのです。

解説:

クリネックスティッシュのCMは、そのオンエア中から呪いのCMという噂が出まわり、オンエア終了後は女性誌などに取り上げられるなど、ちょっとした話題となりました。

現在では当時のことをはっきりと覚えている人は少なく、呪いのCMがあったという断片的な情報だけが都市伝説として生き残っているようです。

実際には噂で語られていることは、まったくのでたらめです。このような噂が生まれた理由は、どうやらそのBGMとして使われた曲に求められるようです。

その曲の名前は「It's A Fine Day」。

ただし、噂のようにこの曲が呪いの曲だというわけではありません。歌詞の内容は噂とは異なり、和訳すると「晴れた日には窓を開けて~」といった感じになる穏やかなものですし、黒ミサうんぬんもまったくのデマ。

「悪魔の歌」と呼ばれることは本当にあったようですが、それは当時はアカペラの曲は珍しく怖く聞こえたからという、拍子抜けするような理由からだそうです。

BGMが怖かった・・・そのことが松坂慶子と戯れるという子鬼という、説明できない構図(人間は説明がつかず、理由がわからないものが一番恐ろしいのです)と合わさり、呪いのCM伝説を生んだというのが真相のようです。

※件の1985年のクリネックスのCM。
 

【その10(完)へ】