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丁寧な青田さんとみんなの、身近に起こった怖い話。心霊現象だけじゃなく、リアルな怖さも含みます。

1: 青田 02/08/30 09:45
人からの又聞き、噂話、ネット、書物から得た怖い話。 

事実に基づくものも多くあるとは思いますが、やはり信憑性は薄れるでしょう。 

自分自身、もしくは親戚、友人等の近い身内に起こった怖い話、限定で語っていきましょう。


3: 青田 02/08/30 09:52
母方の叔母の話。 

佐賀県で育った彼女ですが、学生時代、仲良し3人組で鏡山という山に遊びに行きました。山登りの最中、休憩した大きな切り株のところで、記念写真をパチリ。その日は自然を満喫し、大いに楽しんで帰りました。 

後日、叔母は現像から返ってきた写真を取りに行きました。 

写真屋のおじさんは写真を渡す際、「良かったら知り合い紹介するから」と一言。「何言ってるんだろう?」と思いながら、その場で写真を見た叔母は、全身から血の気が引きました。 

例の切り株で撮った写真。それには、信じられない光景が写っていました。 

仲良し3人組みが、カメラに向かって微笑みかけてます。通りがかりの人に撮ってもらったので、3人揃ったところが撮れたんです。 

でも、おかしい。 切り株に腰掛けていた、真ん中の友人の顔が違う。 

信じられない光景です。真ん中にいた友人の腰から上が無い。そして腰のところから、知らない女がスーと浮かび上がってる。 

その女は、ニターと歪んだ笑みを浮かべていたそうです。

6: 青田 02/08/30 10:13
これも叔母の話です。 

叔母は外国の方と結婚しているんですが、彼が骨董品の収集家で、家には外国の珍しい壷やお面、仏像がところ狭しと飾られています。そんなわけで叔母も感化されて、古いもの、特に仏像に興味がありました。 

ある朝、いつもの様に犬の散歩をしていると、粗大ゴミ置き場に置かれた、1メートルくらいの仏像を見つけました。 

見ると大変古いもので、どうしてこんなとこに捨てられているのか、叔母は不思議に思いましたが、人目見て気に入ってしまい、家に持ち帰りました。 

家に帰り、台所に立って料理をしていると「○○ちゃん」と、叔母の名を誰かが呼びます。 

かすかに聞こえたその声の主を、その日遊びに来てた私だと思った叔母は、「青田、今呼んだー?」と叫びました。奥の部屋で祖母とTVを観ていた私は、「は?呼んでないよー」と、返事をしました。 

しばらく料理をしていると、また「○○ちゃん」 と。今度ははっきり聞こえました。 

なんだかおかしい。どうやら声は、誰もいない筈のダイニングから聞こえてくるのです。恐る恐る叔母がダイニングを見ると、誰もいません。 

「?」 また台所に戻って、料理のことを始めました。 

料理が出来上がり、叔母、祖母、私の3人がダイニングで食事をしていると、叔母はガタっと立ち上がり、私と祖母に尋ねました。 

「今、誰かがあたしの事呼んだの聴こえた?」 
  
私には聴こえませんでした。でも祖母が、「あんた、この仏像どうした?」 と、叔母に聞きました。

さっき拾ってきた仏像が、ダイニングテーブルの下に置いてありました。帰って来た時にそこに置いて、そのままになっていました。 

私はその時初めてその仏像を見たのですが、日本の仏像ぽくないというか、目を「くわっ」と開いたような形相で、少し「気持ち悪いな」と思ったのを覚えています。 

「いや実は捨ててあったのを拾って来た」と叔母が説明すると、祖母は憤慨して、「すぐに戻しておいで!」と怒鳴りました。 

叔母はすぐに返しに行きました。 

(つづく)

13: 青田 02/08/30 10:56
(つづき) 

その日の夕方、叔母は私を千葉の実家まで車で送ってくれましたが、その途中、大事故に遭遇しました。 

高速道路を運転中、叔母の頭の中では、女性とも男性とも取れない「○○ちゃん・・・」と、自分の名を呼ぶ声がし続けていたそうです。そしてだんだんボーとなり、後から聞くと、催眠状態の様になっていたとのことです。 

高速運転中、後ろ斜めからトラックが突っ込んで来ました。私が「○○ちゃん!!」と怒鳴ると、叔母は「はっ」と気が付き、アクセルを踏み込みました。 

間一髪でした。スピードを上げた事で、ギリギリ回避できましたが、トラックは隣の車線にいた乗用車に突っ込んでいきました。

後方で、2台の車が大音響と共に衝突大破。私と叔母は青ざめながら高速を降り、家路に着きました。

(了)

15: 青田 02/08/30 11:10
友人のイトコの話。 

大学時代一人暮らしをしていたが、部屋にいる間中、顔のすぐ横に男の顔が張り付いて、ボソボソ話かけてきたそうだ。 

しばらく我慢していたが、やがて精神を病んで入院。

16: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/30 11:12
よくあることだ。

18: 青田 02/08/30 11:22
友人の話。 

幼い頃、部屋で寝ていた彼女は、怒鳴り声で目が覚めた。階下で両親が喧嘩をしている。 

「嫌だなあ」そう思ってふと天井を見上げると、闇の中、何かがゆらゆらと揺れている。それは、おかっぱ頭の女の子のシルエット。 

「あ、あれは自分の影だな」 

明かりのない部屋の中、ふとんで横になっている自分の影が、天井に映りこむ筈がない。しかし、おかっぱ頭の幼い彼女は漠然とそう考えて、また眠りに落ちていった。 

それからしばらく経ったある晩、彼女はまた両親が言い争う声で目が覚めた。

「いやだなあ」ため息まじりに天井を見上げると、そこにまた影があった。ゆらゆらと揺れる影。よく目をこらして見ると、その影は手や首のところなど、所々がチョン切れている。 

「バラバラの影だ」

やがてウトウトして寝入る。 

そんな事が何回か続いたが、やがて両親が離婚して、彼女は母に連れられてその家から引っ越し、その現象を見ることもなくなった。 

それから十数年の歳月が経った。 

(つづく)

23: 青田 02/08/30 11:44
(つづき) 

成人式の日、彼女は母親にささやかな「感謝会」を開いた。

自分を立派に育ててくた母と二人きりで楽しく食事をし、語った。 

その時、ふと彼女は昔見た「影」のことを思い出し、母に話した。すると話を聞いていた母親の顔が、見る見る青ざめた。具合が悪いのかと聞くと、そうではないという。 

「どうしたの?」と問い詰めると母は、「叔母さんが伝えに来てくれてたんだね、きっと」 と不可解な事を言う。 

「あんたの家族がバラバラになるよ、って伝えに来たんだよ。」 

母の叔母、つまり彼女にとって大叔母にあたる人は、幼い頃、変質者に誘拐され、殺されたということだった。死体は、頭や手足が胴体から切り離された状態で見つかったそうだ。 

母に見せてもらった古い写真の大叔母は、おかっぱ頭をしていた。

母の家系の人間は、大きな転機がある際、何かしらの形で大叔母に出会うらしい。

(了)

24: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/30 11:55
ふーん

26: 青田 02/08/30 11:56
姉の話。 

姉は、街全部がその大学、といった感じの大学へ通っていた。家からはかなりの距離があるので、サークルの用事で遅くなった時には、よく友人の住む学生寮に泊めてもらったりしていた。 

学園祭間近のある晩、準備で遅くなった姉が友人の部屋に泊めてもらい、横になっていると「ドシン!!」という大きな音と振動を感じた。 

「なんだろ?」友人と顔を見合わせ、窓の外に何か落ちた様だったのだが、見ても何もない。 

結局何だかわからないまま1年が過ぎ、またまた学園祭のシーズン。 

準備で遅くなった姉が、去年と同じ友人の部屋に泊めてもらうと、また夜中に「ドシン!!」という音と振動。そういえば去年もあったよね」 などと話ながら、よく考えるとその日は、去年音を聞いたのと同じ日。 

同じ寮に住む5年生の先輩のところへ行って、「今、大きな音がしましたよね?」 と尋ねると、「ああ、したね」 と。

「あれ、何ですかね?」 
「ああ、あれ毎年するんだよ」 

詳しく聞くと、先輩は1年の時から毎年聴いているらしい。先輩によると、その寮では8年くらい前に投身自殺があったとのこと。

調べると、やはり音を聴いたのが「その日」だった。

33: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/30 13:18
せっかく良さげなテーマだけど、青田頑張りすぎかも。

35: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/30 13:24
青田頑張りすぎかもね。スレ立てて軌道に乗るまでは、微妙な力加減がいいかもね。極端に言うと、ネタ提供→合いの手→ネタ提供→そういえば→合いの手、かもね。 

でも青田頑張ってる。

27: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/30 12:31
小学生の頃、とある中古の一戸建てに引越しをしました。 

すると毎晩のように、私の部屋の天井をコツコツ歩き回るような音が。南側の窓付近~北側のドア付近まで往復するってのを、何度も繰り返し。

ネズミかと思ってたけど、規則的なコツコツ音なのでネズミじゃないハズ。弟もその音聞いてましたが、お互い怖くてあまり話題にしませんでした。 

ある日、部屋の模様替えをして、2段ベッドの位置を大幅に変更。 

するとその夜、寝ていたら私の足が両足揃ってグイ~ンと、宙に引っ張られるではありませんか!誰かに足を掴まれてる感じで・・・。ビックリした私は、2段ベッドの上にいる妹に向かって「○○(妹の名前)起きて!足が!」って叫びましたが、妹起きず・・・。 

なんたって、両足ピッチリ揃ったまま浮いてしまってるんですよ。もちろん、私は腹筋弱いのでそんなに高く足上げられません。しばらく浮いてましたが、突然ドサッと落とされました。 

数日後に、裏の川にある土手で、川向こうに住むジィちゃんの焼身自殺がありました。あの辺の土地に「何か」があるのかなぁ?って思っちゃいます。 

現在、両親がその家にいるのでたまに行きますが、今は全くそういう事ないです。 

28: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/30 12:54
戦時中、沖縄でのこと。 

叔父さん(当時12歳)は、自然の洞穴を利用して作った壕の中にいた。
 
他の住民、部隊からはぐれた大怪我を負った兵隊たちも隠れていた。息を潜めていたのだが、どうやら米軍に居場所をみつかったらしい。「ハヤクデテキナサーイ」と、マイクをつかって投降を促す。
 
当時、米軍は住民・軍人区別なく虐殺するものと思われていた。

中の住人のほとんどがその時点で死を覚悟していたが、そのうちの一人が「ずーっと壕のなかにいたから、せめて一目太陽を見てから死にたいサー」と言いだした。そうしたら他の人も「そうサー」とか「どうせ殺されるならそうしたいサー」とか言い出した。 

米軍に投降するといった時点で、日本軍の軍人は「ふざけるな」といって怒ったり、スパイ扱いして住民を殺したりするものだが(他の壕では実際、かなり行われていた)、そこでは物資の少ない中、できるだけの手厚い看護をした住民と軍人の間で信頼関係ができあがっており、軍人達はあえてとめようとしなかった。 

少年だった叔父に、横になりながら地面に文字を書いて漢詩の講義をしてくれた若い将校は、「俺たちもあとから行くからな、しっかり死んでこい!」と言って笑顔で敬礼をした。 

叔父も敬礼で返して、覚悟を決めた他の住民たちと外に出た。 

外に出た住民達は一箇所に集められて、壕の入り口から離れるように言われた。指示に従うと、すぐさま数人の米兵が火炎放射器で壕内を焼き払った。もちろん、中に残った人間は誰も助からなかった。 

叔父は未だに酒が入ると涙ぐむ。のうのうと生きていて申し訳ない、と。

37: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/30 13:27
>>28 
このスレで一番怖かったよ。そんなに遠い過去でも無い真実。真実が一番怖い。俺もジイサンの戦友から、ジイサンが死んだ時の話聞いて身震いしたよ。身内だけに恐ろしかった。

40: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/30 13:32
やばい>>28読んだら涙止まんないっす・・・。

53: 28 02/08/30 14:19
>>37>>40 
後日談。

叔父さんは戦後何年経っても、その将校のことが忘れられなかった。 

沖縄県民を馬鹿にしたりする軍人の多かった中、その将校は違っていた。乏しい食料なのに、子供と妊婦に優先してわけるよう、他の兵隊に指示してくれた。

自分は固い××の実(名前忘れた。とても硬い木の実で、毒ではないけれども普通食用にはされないようなもの)を齧
(かじ)っては「やけに硬いな」といってニコニコしていた。 

部下が弱音を吐くと「貴様、たるんでいるぞ。ここにいる沖縄臣民を守らないで一体どうする」と、明るく叱った。 

夜ともなると、わずかな光も差さない全くの闇の中、遠くに聞こえる銃撃や、その合間のおそろしいほどの静寂の中、誰も発狂しなかったのは、その将校がおられたからこそだろう。 

ずっとそう思っていた叔父は、どうしても遺族の方に会って、お礼やその最後を伝えたくなった。
 

経済的に余裕のできた数十年後、遺族探しをはじめて、やっと会うことが出来た。 

遺族の方は叔父の話に「実に親父らしい」と言って、泣きながら笑ったそうだ。

955: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/11/18 18:55
>>28 
( ´Д⊂ヽ

59: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/30 15:57
俺のお袋は、中国からの引き上げ者。

港まで貨車で移動したらしいんだけど、守りの兵隊さんが次々殺られて、残った兵隊さんが銃をお袋の兄貴、俺の叔父さんに渡して、君が家族を守れって言ったそうだよ。

残留孤児のニュース見てると、もしあの時、お袋達が日本に帰れなければ俺は誕生して無いし、お袋も肉親を探しに日本に来てたのかも知れない。

あのニュースを見ると、他人事に思えない怖さがあるよ。

41: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/30 13:33
怖い話って、どうしても怪談や心霊に片寄ると思うけど、真実の出来事の方がもっと怖い。

怪談以外でも、身内が体験した真実の怖い話があってもいいと思うよ。

沖縄戦を生きぬいた人びと
吉川 麻衣子
創元社
2017-06-19


29: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/30 13:03
母方の伯母の話。 

伯母が子供の頃、高熱を出して何日も寝込んだ。医者に見せても直らない。

そのうち村の祈祷師(?)が呼ばれて拝みに来た。祈祷師が帰ってしばらくすると、伯母が寝ていた奥の部屋から「ホーホケキョ」と、口笛のウグイスの鳴き真似がした。
 
伯母は口笛が吹けなかったので、不思議に思い祈祷師に話すと「ウグイス鳴けば春が来るからもう心配ない」と言われ、その日のうちに熱は治まったそうです。 

43: 私の姉の話 02/08/30 13:38
姉はリサイクルショップやフリマめぐりが好きな人で、ある日も安く手に入ったからと、小さな鏡台を買ってきた。民芸調のそれは、かなり古そうで、店の人によると明治からのものだそうだ。

買ってきたその日の夜、姉はふと夜に目が覚めた。

電気をつけて、なんとなく鏡台を覗きこんだら、姉はぎょっとした。いきなり前髪に白髪が、ざっと見ただけで十本以上あったのだ。

姉は当時20才で、白髪なんてそれまで1本も無かった。姉は容姿に人一倍気を使うので、すぐ病院へ行った。病院ではストレスだろうと言われ、姉は部分スプレーで染めていた。

ある日姉の部屋に入り、私が「この鏡台が原因なんじゃないの~?」とからかったら、姉はすごい剣幕で「出ていけ!」と怒鳴った。目が異様に血走って、姉じゃないみたいだった。

姉の前髪は、ほとんど全部白髪になった。その頃から姉の奇行が始まった。

冬に浴衣を着て、夜中にフラフラ出ていったり、視線を感じると思ったら、例の血走った目で人のことじぃっと見てたり、裸で私の布団に潜り込んできたり。

霊感のあるという子に聞いてみたら、「鏡台をなんとかしないとお姉さんが危ない」と言われた。確かに姉は衰弱してきて、大学に行かず部屋にひきこもってしまった。

父と母と協力して、姉の鏡台を処分することにした。もう姉は別人みたいで、ここに書けないような言葉で私たちを罵り、物を投げ付けた。それでもなんとか運び出し、お寺に持っていった。

姉はその後、高熱を出し寝込んだけど、もとに戻った。髪も白髪なくなった。もう大変だったよ・・・。

姉が回復後教えてくれたんだけど、毎晩夢を見て、鏡の中から黒いものが少しずつずるずる出てきて、それがお面をかぶった女の姿になったって。

ついてたね、間違い無く。おわり。

55: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/30 15:17
一晩にして白髪に…ってよく言うけどさ、例えば5cmの長さの髪だったら、最低5ヶ月は待たないと全部白髪にはならないんだよね。 

次はもっとリアリティのある話キボン。

419: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/09/28 00:44
>>55 
人は激しいショックやストレスによって、一晩で一握りの髪が白髪になることがあります。決して、黒い髪が白髪に切り替わって伸びていくわけでは有りません。既に生えてる部分も白くなります。

420: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/09/28 05:51
そうそう、精神的ショックって馬鹿にならん。 

俺なんて、ショック受けて免疫狂って、突如皮膚病が全身に出て大変だった・・。・

49: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/30 13:55
トイレの水何べんも流して遊んでいるともったいないお化けが出た。

44: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/30 13:39
これは父親の話。 

父親は戦中生まれなんだけど、生まれた時仮死状態で、息してなかったんだって。 

それで逆さ吊りにして、バシバシひっぱたいたら生き返った。でも蘇生させてもらえたのは、男の子だったおかげで、その当時は、女の子だと、生まれても水につけて間引かれてしまっていたそうです。 

父親は末っ子だけど、上の兄姉との間に本当は何人かいると言っていました。

45: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/30 13:40
身内に起こった怖い話・小ネタ編 

・祖母を写した写真全面に、鬼の形相の男が覆い被さっていた。 
・以前住んでいた家で、庭の方角の写真をとるとほぼ写る謎の影。 
・俺が小さい頃、誤ってボタンを飲み込んでしまったことを、お化けのせいにした。

56: 青田 ◆91XhvMgA 02/08/30 15:34
友人の話。 

彼女は小学1年生の時、父親の仕事の都合でアメリカに越した。 

越したところは大きな家で、彼女は念願の自分の部屋を持つことができた。引っ越したばかりで何もなく、部屋には初めから置いてあったベッドがあるのみ。その大きなベッドをすっかり気に入った彼女は、初日から「一人で寝るー!」と言って、その部屋で寝ることにした。 

しかし時差ボケのせいか、なかなか寝付けない。少しウトウトしていたが、すぐに浅い眠りから目覚めた。

のどが渇いたから水でも飲もう身を起すと、彼女は「あれ?」と違和感を感じた。なんだか部屋の様子が違う。暗くて見渡せないが、「こんなに広い部屋だったっけ?」 と感じた。 

ベッドの上でボーッとしていると、急に疲れが襲って来て、彼女はまた眠りに落ちていった。 

アメリカに越してから数週間が経ち、彼女の一家は忙しい日々を送っていた。

現地校に通う事となった彼女は、言葉がわからず苦労していたし、父は仕事で毎晩遅く、母も父の同僚の奥さん連中との付き合いや、子供の学校、医療や日々の生活の事で追われていた。 

そんなある晩、彼女は夜中に目が覚めた。 

ベッドから身を起し、眠い目をこすって部屋を見渡すと、部屋の雰囲気が違う。よく見ると、部屋のそのものが違う。暗闇に目を凝らすと、異様に広い空間が広がっている。部屋の広さは、寝室というよりは、ホールの様だった。 

「いやだこれ、夢だ」 

そう考えて、布団を被って寝てしまった。 

(つづく)

61: 青田 ◆91XhvMgA 02/08/30 15:59
(つづき) 

また何週間か過ぎたが、同じ様な事が何度も起きた。 

彼女は両親にその事を話そうと何回も思ったが、父も母も、不慣れな海外生活に疲れてピリピリしていて、とても話せる状況ではなかった。 

ある晩、また「例の部屋」で目覚めた彼女は、ある決意をした。 

「今日はベッドから出てみよう」

半分夢だと決め付けていた彼女は、自分自身でその部屋の正体を確かめてみるつもりだった。そっとベッドから降りる。

ベッドから降りて、彼女は初めて「怖い」と思った。ベッド自体、彼女のベッドではなかったのだ。 

大きな部屋は暗闇に包まれ、その全貌がわからない。床にガラスの破片の様なものがたくさん落ちていて、歩く度にジャリジャリと音がした。ベッドを中央にして部屋の両端にドアがあったので、彼女はその一つに近づいて行った。 

ドアのノブに手をかけ、開けようとすると、耳元で「##%$$1212!&’!!!」 と、英語で誰かが怒鳴った。「えっ、えっ、何?」 と驚きながら、彼女がまたドアを開けようとすると「##%$$1212!&’!!!」 と耳元で怒鳴り声。 

怖かったがドアを開けた。 

ドアの向こうには部屋があった。今彼女がいる部屋と、全く同じ造りの部屋が。 

そして部屋の向こう側にはドアがあり、そのドアの前に誰かが後ろ向きで立っている。どうやら彼女と同じ様にドアを開け、ドアの向こうを覗いている様だった。 

その人物は彼女が着ているのと同じパジャマを着て、同じ髪型をしている。うしろ向きで顔は見えない。
 
「あれ、自分?」

そう、それは彼女自身の後ろ姿だった。 

(つづく)

64: 青田 ◆91XhvMgA 02/08/30 16:02
(つづき) 

しばらく様子を見ていると、彼女の背後から風が吹いた。後ろを向くと、部屋の反対側のドアが開き、隙間から誰かが覗いている。よく見ると、巨大な黒人男性の首が、4つ縦に並んで彼女のことを見下ろしていた。 

「・・・やだ、怖い」

彼女は開きかけのドアを開けると、隣の部屋に逃げこんだ。 

ドン!! 

何かにぶつかって倒れた。上を見上げると、後ろ向きの人物がいた。「あ、私がもう一人いる」と思っていると、その人物がこちらを向いた。 

しかし、それは自分ではなかった。発疹だらけの顔の少女。腫れて開かない目で彼女のことを睨みつけ、「##%$$1212!&’!!!」と怒鳴った。 

彼女はそこで意識を失った。 

父の仕事の都合で、その土地には半年しかいなかったという。あとで調べると、その家があった場所には19世紀頃、その土地の名主の大きな屋敷が建っていたらしい。 

その屋敷でどんな事が起こったのか、知ることはできなかったが、彼女が言うには、あの少女の部屋と自分の部屋が、同じ空間に立地していたのではないかとのことだ。

(了)

【その2へ】