船

6: 元船舶通信士 ◆9qoWuqvA 01/10/05 02:03
初航海の時の体験。 

船舶通信士、俗称通信士は本船にその当時は2名。1名は24H勤務、もう1名は昼勤というシフトで動きます。

入った会社は、当時タンカーを主に所有してる会社で、私は入社後、とある船歴10年目を迎えたタンカーに初乗りさん致しました(初乗り=初乗船勤務)。

横浜本牧バースから夜間満潮時出港。何事もなく局長から業務を引き継ぎ電報処理、事務関係を無線室で行っていてふと気が付くと午前2時、丁度本船が観音崎の側を通過してる頃です。 

とんとんと無線室のドアを叩く音が。 

あれ、こんな時間に電報か?と思い通信卓を立ちドアに向かい扉を開けると誰もいません。 

ははぁ、初乗りの洗礼だな(洗礼:初乗りは何かしらの形でいたずらをされる。船長公認。)と思い、入港書類の制作に掛かってるとまた、とんとんとドアをノックされ、いたずらかと思いながらもドアを開けるとやはり誰もいません。

7: 名無しさん 01/10/05 02:06
すでに怖くなってる…。

8: 元船舶通信士 ◆9qoWuqvA 01/10/05 02:09
まったく…通信士も暇じゃないんだけど(実際無線部は、事務方一切を引き受けている)、とぶつぶつ言いながら通信卓へ。 

それからしばらくノックの事を忘れて事務処理をしてると、とんとんと言うノックの音が。もう騙されないぞ!と無視をしてると、どんどん、どんどんと更に激しく叩くではありませんか。 

あれ、これは本当に電報か?と慌ててドアに向かいドアを開けても誰もいません。

むっ!やる事酷いナー と思い無線卓に戻ろうとした瞬間、耳元でささやく様な声で「つめたいよーーぉ、早く助けてくれよーぉ」という声が。 

え?と思い辺りを見回しても人影はなく、ゴンゴンゴンというエンジンの音だけしか聞こえません。

10: 元船舶通信士 ◆9qoWuqvA 01/10/05 02:11
気味が悪くなり、申し訳ないと思いながらも通信室の隣に寝ている局長を起こし、それまでの出来事を話すと、局長は、「ま一寸座れや…コーヒー入れてやるからよ」と。

15: 元船舶通信士 ◆9qoWuqvA 01/10/05 02:19
局長自ら入れてくれたコーヒーを飲んで落ち着き始めると、局長がこう話し始めた。

「そうかそうか、お前も聴いたか。

実はな、本船が新船公海試験の時に次席がな(局長の次は副局長なのだが、船の世界では次席と呼ぶ) 、観音崎の沖合で不調だったレーダーを調整してる時に転落しちまったんだ。

丁度真冬の夕暮れ時で、一度屋根にバウンドして前へ落ちれば良かったんだが、横に落ちちゃってな。直ぐに停船を掛けて探したんだが、日没になって探しきれないでナー。

海保やら釣り船も沢山出て探してくれたが見つからないでな。今も発見されてないんだ。 

初乗りさんを怖がらしても仕方ないんで、船長とも話して話さなかったんだが、悪い事してしまったナー。今日は、後俺がやるから酒飲んで寝ろ。明日、ウイングで線香でも焚いてやってくれ。」

【船怪】船にまつわる怖いお話【その1】へ。

121: 名無しさん 01/10/19 12:02
うちのオヤジは昔、貨物船の操舵手をしてました。 

オヤジが乗っていた時、オヤジのボンク(寝室らしい)の上の人が身体中カミソリで斬りつけて自殺をしたそうだ。死んだその人を抱き上げたらすごく軽かったって。血液って結構重いんだなあと言ってたよ。 

その人、すげー几帳面な人で、絶対当直に遅刻しなかったんだって。だから、死んでからも時間になるとコツコツ歩く音がしていて、すごく悲しくて辛かったとオヤジが言ってた。奥さんが不倫したのが自殺の原因らしいんだけど、船員も大変だね。 

あ、あと水葬する時って、いっぱい足の方に重りを入れるんだって。だから、棺桶は海底に突き刺さってるだろう、なんてことも言ってたな。 

たいていの場合は船で冷凍して持って帰るらしいんだけど、行きの船で太平洋のどまんなかとかで死なれると、昔なので仕方なく水葬にしたんだって。 

だから、「行きで死ぬなよ、カラダが国に帰れないぞ」ってよくおどされたそうだ。

122: 名無しさん 01/10/19 21:01
船員さんって悲しいね。

でも遠い海にたった一人で沈んでるってなんかロマンチックかも。

125: 121 01/10/20 12:27
しつこくオヤジの話、いいすかね? 怖い話からちょっと外れるかな… 

オヤジ曰く、船での楽しみは食事ぐらいしか無いそうです。 だもんで、長距離を行く貨物船には、結構いいシェフが当時は乗っていたらしい。

今みたいにインスタントもレトルトも無い時代だったもんだから、巨大な「チャンバー」とか呼ばれる冷蔵室(肉屋にあるようなヤツらしい)が船にはあったそうだ。 

その船に乗っていたシェフが、ある日チャンバーの中に入って食材を出していたら、うねりの高い日で、ぱったん、とドアが閉まってしまったそう。 

開ければいいじゃん、なんだが、そのチャンバーは当時内側からは開けられない(!)構造。だから、普段はドアストッパーをして中に入っていたんだが、うっかりしたらしい。 

それから数時間後、船員たちが騒ぎだしたそう。昼飯の時間になっても食堂に準備が無い。シェフはどこに行った?とあちこち探し回ったが見つからない。

たまに、発作的に海に飛び込んでしまう船員がいたので、まさかそれでは…と皆が暗い気持ちになりかけてた時、チャンバーの前にあるものが。 

靴。 

船員たちは慌ててドアを開けた。そこには凍えながら分のエプロンにペティナイフで指を傷つけ、血文字で遺書をしたためているシェフがいたそうな。

笑い話になっていたが、ずっと冷蔵室に閉じこめられるのは地味に怖いと思った。

126: 名無しさん 01/10/20 12:48
>>125 
面白いよ。もっと、親父さんの話し聞いといてよ。

【船怪】船にまつわる怖いお話【その2】へ。

196: 名無しさん 01/10/21 21:48
その昔の話。台風の次の日だった。 

おいらが勤め先の発電所に行ったところ、なにやら騒がしい。みんなが構内を見渡せるカメラでなにやら海のほうを見てるので「どうしたんですか〜?」と行ってみると海の上になにやら浮いている。どうやら流れ着いたらしく漁船から連絡があったとの事。

連絡をとりながら舟で近づいてる様子を見てたが、そのうち近づいてた舟が奴さんに乗り上げた…。うげぇ…と思ってみていたが、そのうち海上保安庁の舟がやってきて、奴さんにロープをかけてそのまま引きずって行った。

去り行く船をカメラをアップにして見ていたが、そのうち舟は速度を落とし止まった。 

そして海上保安庁の職員と思しきお方が二人で、棒の先にカギが付いたようなものでさくっと引きずっていた奴さんを刺し、船の上に引き上げた。

ドザえもんはあぁやって引き上げるのだなぁと思った反面、海上保安庁の舟は死体護送船みたいなもんだ…と思った…。

203: 名無しさん 01/10/21 23:51
しゃこが水死体にビッシリたかるという話はよく聞く。

205: 名無しさん 01/10/21 23:58
>>203 
それ聞いてからシャコ食べらんなくなった。

204: 名無しさん 01/10/21 23:54
読むんじゃなかった。

【船怪】船にまつわる怖いお話【その3】へ。

299: 船虫幽霊 01/10/25 23:23
ここで、私の聞いた話を一席。実名及び船舶名のみ仮名としてお話させていただきます。 

時は中国で第二次大戦の兆しが見えはじめた昭和10年代。福岡県の若松と韓国の釜山の間を200トンあまりの小さな貨物船が往復していました。

船の名前は**丸、そしてこれはその船の船長を務めていたAさんが体験したというお話です。

当時は仕事が頻繁に舞い込んでおり、目もまわるような忙しさが続いていたそうです。そしていつものように若松の港を出たある日の夜、最初の事件がおこりました。 

船は玄界灘にさしかかっていました。当時の海の難所として「一に玄界、二に遠江、三に日向の赤江灘」と数え歌があったそうですが、その夜は信じられないほどのおだやかさだったそうです。 

単調なエンジン音が、操舵も担当しているAさんの耳に心地よく響き、春の夜空にはポッカリとお月様まで浮いていました。 

「おやっ?」 

Aさんは、船首に立たせておいた見張員のBさんの奇妙な動きに気がつきました。Bさんは見張りを忘れてボンヤリと何かに抱きつこうとして、船縁から身をのりだしそうになっているのです。 

「馬鹿野郎、危なねーぞ!」 

半身を操舵室から乗り出してメガホンを口にしてAさんはどなりました。 

そしてその瞬間、AさんはBさんが抱きつこうとしているものを見てしまったのです。

306: 船虫幽霊 01/10/25 23:42
Aさんがハッとわれにかえった時、Bさんと白く細長いボワーッとしたものは、吸い込まれるように海の中に消えていきました。 

この夜から四日間、毎晩のように犠牲者が続きました。それも単独行動を禁じ、腰にロープを結び付けるように指示したにもかかわらず。 

五日目の夜。この夜も二人の船員が白い影につれ去られ、船に残ったのは船長のAさんただ一人になってしまったそうです。 

「いよいよオレの番か」 

そうAさんが覚悟を決めた瞬間、突然、船が大きな衝撃を受けました。その衝撃でAさんは気を失ってしまいました。

【船怪】船にまつわる怖いお話【その4】へ。

357: 344 01/10/28 00:21
シンガポール沖、マラッカ海峡を通り、ナインディグリー島だかエイトディグリー島だかの近く(機関員なんでうろ覚え)で起こったことです。 

その人(Nさんとします)がもうひとりU君と、機械室で当直に立っている時のことでした。

U君視点で話すと、計器を見ながらふと少し離れたとこに座っていたNさんを見ると、Nさんはエンジンの向こう側をけげんな顔をしてのぞきこんでいたそうです。

「なに見てんだろ?」と思い見ていると、突然立ち上がったかと思うと何かわめきながら後ずさりし始め、後ろにある操作盤のかげに隠れてしまいました。

「くるなー!くるなー!」とうるさいエンジン音のなかで叫んでいたそうです。 

なんだ?と思いU君も移動してNさんの見ていた方向を見ました。

359: 344 01/10/28 00:43
Nさん視点に戻ります。 

Nさんはエンジンとエンジンの間の通路をボ〜っと見ていました。すると向こうのかげから人が顔を出してこちらを見ています。 

「誰だ?」と思いしばらく見ているとどうもハッキリしない。Nさんは「違う。人じゃない」と気づいたそうです。 

その直後通路の向こうから、日本兵の格好をしたものがこっちに向かって歩いてきたそうです。見慣れてるNさんも何か普段にない恐怖を覚え、慌てて隠れたのだそうです。 

覗きこんだU君は「通路を見たらこっちに歩いてくるところでした」 と、U君も歩み寄る日本兵に身がすくむ感じがして、すぐ横の(通路の真正面の)階段の裏に隠れたそうです。 

機械室の床は鉄板です。歩く振動が伝わってきます。ドンドン近づき、そして念仏を唱えるU君の隠れた階段をドンドンドンと上がり階段の途中でフッと消えたのを、U君は押し当てた背中で感じました。 

二人とも顔を見合わせ顔面蒼白。「初めて見ました」と、U君談 。

日本の旗を見てきたのだろうか?とみんなの間で話し合いました。

【船怪】船にまつわる怖いお話【その5】へ。

519:名無しさん 01/12/02 11:31
初めまして、現役の海上自衛官です。

自衛隊板のオカルトスレに書いてましたが、こちらに誘われましたので、よろしくお願いします。私自身は霊感がなく体験した事はないのですが、その手の話は事欠きませんので、ぼちぼちと書いていきたいと思います。

護衛艦Oでの話。かれこれ8~9年前に後輩に聞いた話です。

護衛艦Oが訓練を終え、日本海を一路基地向けて航行していました。母港まで後2日ほどという、穏やかな夜のこと。 見張りが、前方に灯火を視認しました。

(見張り、以下見)「艦首、約1万に灯火視認」
(当直士官、以下当)「了解、視認した」 
(CIC、以下C)「レーダーには映っていない」

小さな漁船などは、距離が遠いとレーダーでも なかなか映りません。当直士官もそう思い 、

(当)「よく見張れ!」
(見)「了解」

それから、約数分後、 

(見)「先ほどの灯火、方位変わらず、距離近づく」
(当)「了解、視認している」 
(C)「まだ、レーダーには映っていないぞ!本当にいるのか?」

CICとは映画などで出てくるレーダーを見ている暗い部屋で、 外を見ることが出来ず、情報は見張りの報告とレーダーが頼りになります。

結局、レーダーには映らないまま、灯火が艦の横を過ぎようとした時、 見張りが突然、 「うわっ〜!!!」と、大きな声を出しました。

艦橋の中にいる人間が、心配して見張り員を見に来ると なんと、気絶しています。 なんとか、見張り員を気づかせて話を聞いてみると、

「さっきの灯火を見ていて、50mぐらい前から何かの形になってきた。」 
「よく見ていると、生首が目を見開きながら、俺の方に飛んできた!」 
「目の前に来た時に、声を出してしまったらしく、その後は覚えていない」 との事。

艦長が心配して、箝口令を出しほどです。 


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